諸問題の解説
最新の解説:外壁タイル張替コストの落とし穴
大規模修繕工事の中で皆様の大きな関心が集まる項目として外壁タイルの張替工事があります。沢山の事例を扱ってきた立場から、建物のプロとして無駄な張替をしないよいうにアドヴァイスしていますが、時として状況の悪い事例に遭遇することもあります。
私の一般的なイメージでは、1戸当りで40枚~60枚程度の張替を考えておけばポイントは抑えられると考えています(専用バルコニー内や外廊下内の軽微な不具合には手をつけないという条件での話です)。この点が大きなポイントなのですが、施工する立場だと後々のクレームが心配なので、過剰工事になりがちです。私のような建物のプロからすると、ほとんどやる必要のない工事がなされているという実態があります。これは技術的な問題というより、知識の少ない立場から生ずる不安が原因のクレームであることがほとんどで、無駄と知りつつ工事しているというのが実態です。もちろん施工サイドとしては工事金額が大きい方が好ましいという一面もあります。
さて、今回の本論に入りますが、実際のタイル張替工事では、不良タイルの剥離費用と下地調整が工事費の大半を占めています。実際の金額でいえばタイル1枚の張替費用は¥500~¥600程度ですが、仮に1枚500円として1平方メートル換算すると、200枚/1㎡として ¥100,000/㎡となります。つまり、1メーター四方のタイル面を張り替えるのに10万円必要ということになります。そう考えるとかなり高額な費用です。では新築の場合はどうかといえば同じ面積で何千円の世界です。
ここで考えたいのは、その張替費用をなんとかできないかということなのですが、現実的には少ない枚数のタイルを張り替えるのは結構大変な手間がかかり致し方ない金額と考えています。要するに一般的な劣化状況の場合は仕方ないということになってしまいますが、タイル貼りの状況が悪く一般的な事例よりも張替枚数が大幅に多い場合には張替コストの見直しが可能ということになります。
コンクリート躯体の下地処理が悪く、一般の事例よりも多い枚数を想定する必要のあったマンションの事例で言うと、タイルの張替を積算する際に、不具合箇所の面積により張替金額の工夫をするように指示した結果、指摘内容を真剣に考慮した会社と考慮しなかった会社との間で工事総額に大きな差が生じました。5社の入札で3000万円に近い会社が3社、5000万円に近い会社が2社でした。この5社は全て優良な会社ですが、工事担当者の考え方で提示金額に大きな差ができてしまったことになります。
専門家でない一般の人には理解しにくい内容と思いますが、専門家が工事の中に深く踏み込んでいくと、「タイルの張替工事」と一行で表現する世界の中にも大きな落とし穴が潜んでいることをご理解いただければ幸いです。何事もスタート時が大切で、緩い決め事でスタートしてしまうと後々精算時に莫大な追加費用を支払わなければならないことにもなりかねません。一般の建物では考えなくてよいことではありますが、中には建設時の下地処理不良の事例も少なくありませんので、多くの張替が予測される場合は積算条件を工夫し、コスト削減を図りたいところです。
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